特別編!!遍路展見学記【愛媛県歴史文化博物館】
◆ 特別編 ◆
訪問日:2014年3月14日
訪問場所:愛媛県歴史文化博物館
◇ ◇ ◇
特別編!!遍路展見学記です(・ω・)ノ
高速に乗って宇和へ。愛媛県歴史文化博物館に行って来ました。
中村愛媛県知事の一言でこの博物館の常設展示「密●空と海-内海清美展」の取材に行ったのですが、ちょうどお遍路の展示もやっているとのことだったので、この二つの展示の見学をして来ました。
◆常設展示「密●空と海-内海清美展」見学記
まずは取材のきっかけとなった空海展から。
入口から暗い中に青い星のようなライティングで何やら雰囲気たっぷり。
黒い展示室内に白い和紙でできた人形が浮かび上がり、視線が人形に吸い寄せられるようでした。
それもそのはず、ライティング、音響まで総合的に練られてできた展示だそう。
空間ごとプロデュースされているというのも珍しいですが、それだけ展示に関係ないものが展示室内に少ないということで展示に集中して見ることのできる感じでした。たまにこの世界にのめりこんでしまう人も出るほどだとか。
世界観って完成されるとすごい引力を発揮するんですね(゜ω゜)
写真は個人的お気に入りの空海幼少期の場面。おまいりんぐ15話でスダチノカミが語っていたのでもおなじみの「仏道に入り、多くの人を救いたい。もしそれが私にできるなら、ここから飛び降りても命は救われるはず」と言って崖から飛び降りる場面です。高低差があって人形を使った展示ならではの立体感がひときわ目立っていました。天女と空海の影が壁に映っているのもドラマチックな演出ですよね!!ライティングによって真っ白な和紙人形に陰影ができ、そこに在ることを主張しているようでした。ライトまでこだわる理由もここまで見てくるとちょっと分かる気がしてきました。
あと展示を見ていて思ったのが、(・ω・)「内海さんって四国の人じゃないんだー」ということ。
四国に行きたいと内海さん自身が思っていたこと、四国に良質な和紙と内海さんの思った和紙をつくる技術があったから、和紙人形に四国の和紙が使われるようになったのだとか。
県外の方から見ても良いものをつくる技術が四国に残っているんだなという誇らしい気持ちになりました!
担当の学芸員さんのお話によると、この展示の人形は高知の雁皮紙、愛媛の楮紙などでできているそう。背景にもタイルのような厚手の和紙なのですが、これも徳島の阿波和紙が使われているそうです。肌の光沢感と服の重厚感など、質感の違いからか、人形の存在感がすごかったです!!
またこの和紙人形、ぱっと見の存在感だけではなくて、近寄って見てみてもすごいんです。なんといってもこの躍動感!!
和紙の軽さと程よいかたさあっての表現なのかなと思うのですが、この一瞬を切り取ったような躍動感が物語を感じさせてくれるんです。どこを見ても絵になるような、そんな感じの展示です。
写真は嵐の中長安に向かう船の上での場面なのですが、服のたなびき方、空海の厳しい表情、船に打ち寄せる波や沖の方の波のざわざわとした感じが全て和紙で表現されています。実際見ると頭なんて相当小さいのですが、どの人形も感情が分かるくらいリアルな表情をしていて、一体づつ見ていきたいような気にすらなってきます。写真では分かりにくいかもしれないですが、手の造形も細かくて、指も一本一本の動きというか、形が美しかったです。影になっていますが左手の形を見てもらうと写真でも綺麗さが分かるかな。。
そして、これは内海さんの作品の特徴らしいのですが、人形を絵巻物のように並べた群像形式の作品で、どの角度から見ても楽しめるというか、いろいろな角度から見て楽しみたい作品ばかりでした。
作品の方もそうやって見る人それぞれの見方でじっくり見てもらうのを想定しているのか、解説は少な目。「右脳で感じる」展示になっているとのことでした。
今回見学した時には空海の誕生から長安留学までのストーリーが展示してありましたが、展示替えをしながら空海の生涯を展示していくそう。これは展示替えがあったらまた見に行かねば。
1月の高野山で空海のエピソードを一通り整理していた一行は、これはあの時だ、と解説無しでも十分空海の青年期までのストーリーとして楽しめましたが、全く知らない人でも神秘的な世界に浸れる素敵空間だと思いますよ(ノ・ω・)ノ!!
◆企画展「四国遍路ぐるり今昔」見学記
次にちょうど開催中だったお遍路の展示「四国遍路ぐるり今昔」へ。
展示の内容は江戸時代から現代までの間に作られた、札所の姿を記録した4つの資料を並べて時代ごとの札所の姿、移り変わりを知ろうというもの。建物が増えていく様子、建物の形の変遷などを見ながら、今から遠い昔の人々も、同じ土を踏んで、もしかしたら今と同じ本堂や大師堂にお参りをしていたのかもしれないと思うと、ふと不思議な気持ちになります(*´ω`)
長い時間の中で、時には場所が移ったり境内の配置がすっかり変わってしまった札所も。特に廃仏毀釈令が出た時にはお寺も存続が厳しくなったり、打ち壊されていたりして厳しい状況だったそう。当時の写真資料に残されているお寺の姿も、柱材っぽい木が転がっていたり、やっと本堂が再建された後なんだろうなというものもあり、そんな厳しい時期の札所の姿として残っていました。
それぞれのお寺の努力とか、この国の人の思惑とか、回る人の想いとか、いろいろな人と時間の移り変わりの中でお遍路が今の形になってきたんだなと。当たり前のようなことを改めて思い知らされた感じです(>_<)
現在の札所の姿は本当に細かいところまで描写されていて、今まで回った遍路道の思い出を思い出すには十分すぎるほど。周りの遍路道や周辺の観光名所なども絵の中に入れられていて、こういう道だった、途中にここに行ったなど、見ながら楽しめました。今まで札所に行ったことのある人には特におすすめです(∩´∀`)∩
お遍路の経験がない方も、この展示で1番から88番までの札所を見て回って、お遍路気分を味わうのも良いかもしれません。スタッフ一行もまだ見ぬ札所の絵を見て、何だろうこれ?こんな離れたところにお堂が!など実際行ったときに見たいスポットを探したりして期待を膨らませておりました。
その他にも江戸時代の遍路道地図なども展示してあり、その当時の地区の名前や距離などの詳細さに驚いたり、これをお遍路をしながら個人で作ったということにもっと驚いたり。
これを持って回ってみたい。。今こういう形で詳細な地図ってあるのかしら(・ω・)??
お遍路経験者もまだの方も、札所の雰囲気やお遍路の歴史を感じて、お遍路疑似体験ができる展示、いかがですか?
そんな感じであっという間に時間は過ぎ。
帰るころにはすっかり夕方に。ゆっくり鑑賞したい派の方、お遍路興味あるよって方はぜひたっぷり時間をとって行くことをお勧めします。和紙人形に引き込まれたりお遍路の想いで話をしていると、時間本当にあっという間なので。。
さらに、「四国遍路ぐるり今昔」の展示終了後、4月26日からは「弘法大師空海展」スタートだそうですよ!!空海の著した本や仏具、さらには空海の居た時代の愛媛の様子や、今に残る空海伝説まで。空海づくしの展示になるそうです(`・ω・)!!
おまいりんぐ企画が始まってからというもの、だんだん仏教や空海に詳しくなってきたおまいりんぐスタッフには気になる展示ばかりです。展示が変わったらまた行こう。。
皆様も宇和の方は遠い、むしろ愛媛が遠いという方も多いと思いますが、愛媛県歴史文化博物館周辺は古い建物の残る地域なので、古い街並みや昔の学校などを一日のんびり散策もいいかも。観光にも良いところだと思いますので、遠方から来られる方は周辺史跡もぜひチェックしてみてくださいね(∩´∀`)∩
愛媛県歴史文化博物館
〒797-8511 愛媛県西予市宇和町卯之町4-11-2
TEL:0894-62-6222(代表)
ホームページ:http://www.i-rekihaku.jp/
◆和紙彫塑による「弘法大師空海」の世界 密●空と海-内海清美展
期 間 : 常設展示
観覧料 : 無料
◆四国遍路ぐるり今昔(こんじゃく)
期 間 : 平成26年2月18日(火) ~ 4月6日(日)
観覧料 : 大人(高校生以上) 300円 / 小中学生・65歳以上 150円
※詳しい開催期間・開館時間・観覧料金などにつきましては、
愛媛県歴史文化博物館ホームページ(http://www.i-rekihaku.jp/)よりご確認ください。
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